相続の基礎知識をわかりやすく解説!~法定相続人と法定相続分~
聞いたことはあっても、実際に経験することはなかなかない「相続」
わからないことが多く、手続きに戸惑うものです。
しかし、手続きをしないと関係者が増え、複雑化してしまうことも…
いざという時のために、相続の基本を知っておくことが大切です。
そもそも相続とは?
相続とは、人が亡くなったときに、その人が持っていた財産を、他の人が継承することです。
亡くなった人を「被相続人」といい、亡くなった人が持っていた財産を「相続財産」または「遺産」と呼びます。
そして、それらを継承する(相続する)人のことを「相続人」といいます。
相続は、被相続人が亡くなった時から発生し、
被相続人が亡くなったことを相続人が知らなくても開始となります。
相続が開始されると、相続人は被相続人の一切の財産と債務を継承します。
つまり、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も相続財産となるので注意が必要です。
一般的にプラスの財産とされるものには、不動産・預貯金・証券・貴金属・骨董品・車などがあり、
マイナスの財産とされるものには、借金・住宅ローン・未納の税金などがあります。
ただし、民法では”被相続人の一身に専属したものはこの限りではない”とあり、
例えば、親権や扶養請求権、国家資格、年金受給権などは相続財産に含まれません。
また、墓地や墓石、仏具、神具などの祭祀関係の財産も相続財産とはなりません。
亡くなった人を「被相続人」といい、亡くなった人が持っていた財産を「相続財産」または「遺産」と呼びます。
そして、それらを継承する(相続する)人のことを「相続人」といいます。
相続は、被相続人が亡くなった時から発生し、
被相続人が亡くなったことを相続人が知らなくても開始となります。
相続が開始されると、相続人は被相続人の一切の財産と債務を継承します。
つまり、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も相続財産となるので注意が必要です。
一般的にプラスの財産とされるものには、不動産・預貯金・証券・貴金属・骨董品・車などがあり、
マイナスの財産とされるものには、借金・住宅ローン・未納の税金などがあります。
ただし、民法では”被相続人の一身に専属したものはこの限りではない”とあり、
例えば、親権や扶養請求権、国家資格、年金受給権などは相続財産に含まれません。
また、墓地や墓石、仏具、神具などの祭祀関係の財産も相続財産とはなりません。
相続人の範囲はどこまで?
誰が相続人になるかは、民法という法律によって定められており、法律に従って相続の権利を有する人を「法定相続人(または相続人)」といいます。
法定相続人には、「配偶者相続人」と「血族相続人」があります。
まず「配偶者相続人」ですが、被相続人の配偶者は、被相続人が亡くなった時に生存していれば必ず相続人となります。
ただし、配偶者は正式な婚姻関係である必要があり、すでに離婚している場合や、事実婚や内縁の夫婦では法定相続人になることができません。
また、被相続人が亡くなった時に、別居・離婚協議をしていても、婚姻関係が継続されていれば法定相続人となります。
次に、「血族相続人」に当たるのは、子(直系卑属)、父母・祖父母(直系尊属)、兄弟姉妹です。
血族相続人は全員が法定相続人となれるわけではなく、優先順位が以下のように定められており、順位が高い人が法定相続人となり、先順位の者がすでに亡くなっている場合や、家庭裁判所へ相続放棄の申述をした場合は、次順位の者が法定相続人となります。
第1順位 子(直系卑属)
第2順位 父母・祖父母(直系尊属)
第3順位 兄弟姉妹
法定相続人には、「配偶者相続人」と「血族相続人」があります。
まず「配偶者相続人」ですが、被相続人の配偶者は、被相続人が亡くなった時に生存していれば必ず相続人となります。
ただし、配偶者は正式な婚姻関係である必要があり、すでに離婚している場合や、事実婚や内縁の夫婦では法定相続人になることができません。
また、被相続人が亡くなった時に、別居・離婚協議をしていても、婚姻関係が継続されていれば法定相続人となります。
次に、「血族相続人」に当たるのは、子(直系卑属)、父母・祖父母(直系尊属)、兄弟姉妹です。
血族相続人は全員が法定相続人となれるわけではなく、優先順位が以下のように定められており、順位が高い人が法定相続人となり、先順位の者がすでに亡くなっている場合や、家庭裁判所へ相続放棄の申述をした場合は、次順位の者が法定相続人となります。
第1順位 子(直系卑属)
第2順位 父母・祖父母(直系尊属)
第3順位 兄弟姉妹
第1順位 子(直系卑属)
被相続人が亡くなった時に子が生存している場合には、配偶者とともに子が法定相続人となり、被相続人に配偶者がいない、またはすでに亡くなっている場合には、子のみが法定相続人となります。
子は第1順位なので、子が生存している場合には、父母・祖父母や兄弟姉妹は法定相続人にはなれません。
もしも、被相続人よりも先に子が亡くなっている場合は、子に代わって子の子(被相続人の孫)が法定相続人となります。また被相続人の孫も亡くなっている場合は、孫に代わって孫の子(被相続人のひ孫)が法定相続人となります。これを『代襲相続』といいます。子や孫の配偶者には代襲相続権はありません。
また、養子は養子縁組をした日から実子と同じ扱いとなりますので、法定相続人となります。
ただし、養子が被相続人(養親)よりも先に亡くなっている場合には、養子の子が代襲相続できる場合とできない場合があるので注意が必要です。
〇代襲相続できる場合…養子縁組の後に生まれた養子の子
×代襲相続できない場合…養子縁組の前に生まれていた養子の子
子は第1順位なので、子が生存している場合には、父母・祖父母や兄弟姉妹は法定相続人にはなれません。
もしも、被相続人よりも先に子が亡くなっている場合は、子に代わって子の子(被相続人の孫)が法定相続人となります。また被相続人の孫も亡くなっている場合は、孫に代わって孫の子(被相続人のひ孫)が法定相続人となります。これを『代襲相続』といいます。子や孫の配偶者には代襲相続権はありません。
また、養子は養子縁組をした日から実子と同じ扱いとなりますので、法定相続人となります。
ただし、養子が被相続人(養親)よりも先に亡くなっている場合には、養子の子が代襲相続できる場合とできない場合があるので注意が必要です。
〇代襲相続できる場合…養子縁組の後に生まれた養子の子
×代襲相続できない場合…養子縁組の前に生まれていた養子の子
第2順位 父母・祖父母(直系尊属)
被相続人が亡くなった時に子や孫などの代襲相続人(直系卑属)が存在しない場合のみ、配偶者とともに父母・祖父母(直系尊属)が法定相続人となります。
被相続人に配偶者がいない、またはすでに亡くなっている場合には、父母・祖父母のみが法定相続人となります。
被相続人と親等が近い人が優先的に法定相続人になりますので、父母<1親等>が生存している場合は、祖父母<2親等>は法定相続人にはなれません。
被相続人に配偶者がいない、またはすでに亡くなっている場合には、父母・祖父母のみが法定相続人となります。
被相続人と親等が近い人が優先的に法定相続人になりますので、父母<1親等>が生存している場合は、祖父母<2親等>は法定相続人にはなれません。
第3順位 兄弟姉妹
被相続人が亡くなった時に子や孫などの代襲相続人(直系卑属)、父母・祖父母(直系尊属)も存在しない場合のみ、配偶者とともに兄弟姉妹が法定相続人となります。
被相続人に配偶者がいない、またはすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹のみが法定相続人となります。
もしも、被相続人よりも先に兄弟姉妹が亡くなっている場合は、兄弟姉妹に代わってその子(被相続人の甥姪)が法定相続人となります。
しかし、第1順位の子と異なり、第3順位の兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪までしか代襲相続権がなく、甥姪が亡くなっている場合に甥姪の子は代襲相続人にはなれません。
(被相続人が亡くなった時期が昭和55年12月31日以前の場合は、代襲相続人の範囲が異なりますのでご注意ください)
被相続人に配偶者がいない、またはすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹のみが法定相続人となります。
もしも、被相続人よりも先に兄弟姉妹が亡くなっている場合は、兄弟姉妹に代わってその子(被相続人の甥姪)が法定相続人となります。
しかし、第1順位の子と異なり、第3順位の兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪までしか代襲相続権がなく、甥姪が亡くなっている場合に甥姪の子は代襲相続人にはなれません。
(被相続人が亡くなった時期が昭和55年12月31日以前の場合は、代襲相続人の範囲が異なりますのでご注意ください)
誰がどれだけ相続するのか
被相続人の遺産を相続する際に、各法定相続人の取り分として民法で定められた割合のことを「法定相続分」といい、配偶者の有無や法定相続人の順位によって割合が決まります。
ただし、あくまでひとつの目安として定められていますので、法定相続分通りの割合で相続しなければいけないということではなく、遺言書がある場合には原則として遺言書に沿って相続し、遺言書のない場合は法定相続人全員で遺産分割協議(話し合い)を行い、相続する人や割合を自由に決めることができます。
しかし、相続人同士でもめてしまい、裁判で争うことになってしまった場合には、この法定相続分は重要になってきますので、知っておくことが大切です。
なお、同じ順位の法定相続人が複数人存在している場合は、その人数で均等に分けることになります。
ただし、あくまでひとつの目安として定められていますので、法定相続分通りの割合で相続しなければいけないということではなく、遺言書がある場合には原則として遺言書に沿って相続し、遺言書のない場合は法定相続人全員で遺産分割協議(話し合い)を行い、相続する人や割合を自由に決めることができます。
しかし、相続人同士でもめてしまい、裁判で争うことになってしまった場合には、この法定相続分は重要になってきますので、知っておくことが大切です。
なお、同じ順位の法定相続人が複数人存在している場合は、その人数で均等に分けることになります。
ケース①配偶者と子(直系卑属)の場合
法定相続人が配偶者と子(直系卑属)の場合の法定相続分は、
配偶者が 2分の1、子が 2分の1です。
ただし、子が複数人いる場合、全員で2分の1を均等に分けます。
例えば、子が3人いる場合はそれぞれ6分の1が法定相続分になります。
なお、子の中に養子がいたとしても実子と同じ扱いとなりますので、法定相続分は実子と変わりありません。
配偶者が 2分の1、子が 2分の1です。
ただし、子が複数人いる場合、全員で2分の1を均等に分けます。
例えば、子が3人いる場合はそれぞれ6分の1が法定相続分になります。
なお、子の中に養子がいたとしても実子と同じ扱いとなりますので、法定相続分は実子と変わりありません。
ケース②配偶者と父母・祖父母(直系尊属)の場合
法定相続人が配偶者と父母・祖父母(直系尊属)の場合の法定相続分は、
配偶者 が3分の2、父母等が3分の1です。
ただし、父母等が複数人いる場合、全員で3分の1を均等に分けます。
例えば、父母の場合はそれぞれ6分の1が法定相続分になります。
配偶者 が3分の2、父母等が3分の1です。
ただし、父母等が複数人いる場合、全員で3分の1を均等に分けます。
例えば、父母の場合はそれぞれ6分の1が法定相続分になります。
ケース③配偶者と兄弟姉妹の場合
法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の法定相続分は、
配偶者 が4分の3、兄弟姉妹 が4分の1です。
ただし、兄弟姉妹が複数人いる場合、全員で4分の1を均等に分けます。
例えば、兄弟姉妹が2人いる場合はそれぞれ8分の1が法定相続分になります。
なお、父母の一方が異なる兄弟姉妹がいる場合、父母双方を同じくする兄弟姉妹の法定相続分の2分の1になります。
配偶者 が4分の3、兄弟姉妹 が4分の1です。
ただし、兄弟姉妹が複数人いる場合、全員で4分の1を均等に分けます。
例えば、兄弟姉妹が2人いる場合はそれぞれ8分の1が法定相続分になります。
なお、父母の一方が異なる兄弟姉妹がいる場合、父母双方を同じくする兄弟姉妹の法定相続分の2分の1になります。
まとめ
今回は、相続の基本知識として、
「誰がどのような順位で法定相続人となり、どのような割合で相続するのか」を中心に解説しました。
このように、民法には相続についてのルールが細かく決められていますが、
遺言書がある場合には、遺言書の内容が最優先されるなど、被相続人のご意思やご家族のかたちによって、さまざまなパターンがあります。
とはいえ、スムーズに相続手続きをすすめるためにも、基本的な相続の知識を覚えておくことが大切です。
相続に関する疑問や不安がございましたら、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
「誰がどのような順位で法定相続人となり、どのような割合で相続するのか」を中心に解説しました。
このように、民法には相続についてのルールが細かく決められていますが、
遺言書がある場合には、遺言書の内容が最優先されるなど、被相続人のご意思やご家族のかたちによって、さまざまなパターンがあります。
とはいえ、スムーズに相続手続きをすすめるためにも、基本的な相続の知識を覚えておくことが大切です。
相続に関する疑問や不安がございましたら、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。