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相続の手続きは「誰に」「何を」相談する?

「相続の相談をしたいけれど、誰に相談したらいいのかわからない」
いざ専門家に相談したいと思った時に、どこに相談に行くべきか迷われる方は多いと思います。

主な相談先としては、弁護士・司法書士・税理士などになりますが、それぞれの得意分野や「できること」「できないこと」を理解し、目的に合った専門家に相談することがスムーズな手続きへの近道です。

相続相談と相談先

ひとくちに「相続の相談」といっても、その内容はさまざまです。
・不動産の名義変更(相続登記)をしたい
・預貯金の解約や名義変更をしたい
・相続でもめているので解決したい
・相続人の中に、疎遠になっていて連絡のとれない人がいる
・相続人の中に、認知症で判断能力のない人がいる
・相続税の申告をしたい、相続税がかかるのか知りたい
・相続放棄をしたい

相続手続きをどのように進めるのがよいかは、遺産の種類や多さ、家族関係などによって異なります。
相続税申告や相続放棄の手続きなどには期限があるため、まずは早めに相談することが大切です。
ここからは、ケースごとに適切な相談先を解説したいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.相続税の申告が必要な場合

遺産の課税価格の総額が、遺産に係る基礎控除額(※)以下であれば相続税は課税されません。
 ※基礎控除額(平成27年1月1日以降の相続)…3,000万円+600万円×法定相続人の数

一方、相続税が課税されるほどの遺産がある場合は、相続の開始があったことを知った日から10か月以内に相続税の申告をしなければなりません。
申告期限を過ぎてしまうと、特例などが利用できなくなってしまったり、延滞税や加算税などのペナルティを課せられる可能性がありますので、早めに手続きを行う必要があります。

相続税申告書の作成は、税務署に相談しながら自分で行うこともできますが、計算方法がかなり複雑になっています。間違うリスクもありますので、税理士に相談することをおすすめします。相続税に強い税理士であれば、その知識と経験により節税となる場合も多いようです。

2.相続でもめている場合

相続人同士で争いが起こってしまっている場合には、争いを解決し、相続人全員が合意しなければ相続の手続きをすすめることはできません。
話し合いがまとまらない場合、遺産分割調停や審判などの裁判所での手続きが必要になります。

遺産分割調停や審判において、代理人として裁判手続きをすすめることができるのは弁護士だけです。
調停の申立書などの「裁判所提出書類の作成業務」は司法書士でも受任することができますが、あくまでも書類作成による支援になりますので、自分の代わりに裁判手続きをしてもらいたい、他の相続人と交渉をしてもらいたいといった場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。

3.相続放棄をする場合

相続放棄とは、相続人としての地位を放棄し、被相続人の権利義務のすべてを承継しないようにする手続きのことです。遺産を把握する中でマイナスの財産が明らかに多かった場合や、そもそも相続する気がなく相続人から外れたい場合などに、相続放棄をすることで相続人から除外されます。相続放棄をするには、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。

相続放棄の手続きは、必要書類の収集や相続放棄申述書の作成、家庭裁判所からの照会書への返信など、慣れない作業で手間取ってしまうかもしれません。
司法書士は、「裁判所提出書類の作成業務」として相続放棄申述書などを代わりに作成することができ、そのために必要な戸籍謄本等も収集することができます。ただし、書類作成代理と提出代行までが業務範囲であり、「手続代理人」となることはできません。代理人に包括的に手続きを任せたい場合は弁護士へ相談するとよいでしょう。

4.不動産がある場合

遺産の中に被相続人(亡くなった方)名義の不動産がある場合、相続人へ名義変更(相続登記)を行う必要があります。
被相続人の名義のままにしていると、いざという時(新築や増改築をする時など)に手続きができず困ったり、売却もすることができません。また、長期間放置することで相続関係が複雑化してしまいます。

相続登記は、登記所(法務局)へ相談しながら自分で申請することもできますが、時間のない方や労力をかけたくない方、複雑な事情のある場合などは、司法書士へお気軽にご相談ください。

登記申請手続きを代理することが認められている国家資格は、司法書士と弁護士だけです。
司法書士は「登記の専門家」であり、日頃から相続登記手続きを多く取り扱っています。
弁護士も登記手続きを受任できますが、職務範囲が広いので登記についてはあまり詳しくなく、司法書士と連携することが多いです。

つまり、遺産の中に不動産があり、相続人同士でもめ事がない場合には、司法書士へ相談されるのがよいでしょう。
また、不動産がいくつかあり相続税がかかるかどうか不明なときも、まずは司法書士へご相談ください。相続税申告が必要な場合や判断が難しい場合には、信頼できる税理士と連携しながら手続きをすすめてまいります。

相談する時に持って行くとよいもの

不動産の相続登記の相談をする際には、以下の書類があるとスムーズに話をすすめることができます。
□ 固定資産税納税通知書、評価証明書、名寄帳など(なるべく最新のもの)
□ 被相続人の遺言書(ある場合)
□ 被相続人の戸籍謄本(出生からお亡くなりになるまで)・住民票等
□ 相続人の戸籍謄抄本・住民票等

戸籍謄本等は、司法書士が手続きを受任した際には代わりに取得することができますので、ご自身ですべて揃えていなくても大丈夫です。
「固定資産税納税通知書」などには不動産の所在・地番等や評価額が載っているため、遺産の把握がしやすく、手続き費用を計算する際にも必要となりますので、お手元にありましたらぜひお持ちください。

5.預貯金の相続手続きなど

被相続人名義の預貯金がある場合、金融機関が死亡を確認した時点で預貯金口座が凍結され、入出金ができなくなってしまいます。
口座の解約又は名義変更の手続きをするには、必要書類を揃えて金融機関へ申込みをする必要がありますが、金融機関ごとに手続きが異なるため、まずはそれぞれの金融機関へ直接お問い合わせください。

どの金融機関でも必要になるのが戸籍謄本等一式ですが、その代わりになるものとして、法務局で「法定相続情報一覧図」を作成することができます。戸籍謄本等一式は、通数が多いと持ち運びに不便ですし、それぞれの金融機関において内容を確認したうえで相続関係を把握しなければならず時間がかかってしまいます。
「法定相続情報一覧図」は、法定相続人を一覧にして法務局が証明したもので、戸籍謄本等一式の代わりに各所へ提出することができてとても便利です。
「法定相続情報一覧図」の作成についても、司法書士へお気軽にご相談ください。

まとめ

相続の相談内容と相談先について解説をしてきましたが、おおまかな目安としては次の3つです。
〇 相続税がかかる(可能性がある)場合は、税理士
〇 相続人同士で争いごとがある場合は、弁護士
〇 上記以外で、遺産に不動産が含まれている場合は、司法書士

そして、相談先について迷った時はひとまず司法書士へ相談するとよいでしょう。
司法書士は、日頃から業務において他士業とのつながりがありますので、相談内容によって他の専門家へおつなぎすることができます。相続に関するご相談の最初の窓口として、「身近なくらしの法律家」であり「相続の専門家」である司法書士へお気軽にご相談ください。

当事務所では、お一人お一人の状況に合ったご提案をさせていただき、必要に応じて他士業や専門家と連携しながら手続きをすすめてまいります。

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