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「終活」でやるべきことは?

近年「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。自分の老後や死後のことでご家族を困らせたくないという思いから気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、いざ始めようにも具体的になにからやるべきなのか・・・?
今回は終活でやるべきことについて紹介しますので、まずはできることからスタートしてみてはいかがでしょうか。

終活とは?

終活とは、”人生の終わりのための活動”のことを指します。
縁起が悪いように思われがちですが、自分の残りの人生を大切にするとともに、周りの人のことも大切にするための活動だと思います。

終活を行うメリットは、自分らしく最期を迎えるためにどうしたいのかを考え、それに向けて準備を行うことで、不安が軽減されて残りの人生を前向きに過ごせるほか、自分の希望することが家族に伝わることで、自分の亡きあとにさまざまな決断や手続きを行う家族の負担を軽減したり、トラブルを防ぐことができることです。

終活を始めるタイミングは人それぞれで、いつから始めるのが正解というものはありません。
しかし、身の回りの整理や必要な準備などは、体がある程度動けるほうが進めやすく、また認知症などで自分の意思表示ができなくなると難しくなります。
ですので、少し早いかも?と思うくらいのタイミングで少しずつ始めることをおすすめします。

具体的には何をするべきか

終活でやることはさまざまありますが、主な内容について紹介します。
まずは、自分の半生を振り返り、プロフィールや略歴を記録することからはじめると手をつけやすいです。
次に、老後の心配事である医療・終末医療、介護、財産のことや、自分の死後に関する葬儀、お墓、相続などについて、どうしたいのかを考えます。わからないことは調べるなどして、選択肢の中から自分の希望に合ったものを選択し、実現するための準備を行います。
さらに、万が一のときに家族が困らないように、基本的な情報や自分の希望することはできる限り直接伝えておくことも大切です。

終活を始める際には「エンディングノート」を活用することをおすすめします。
エンディングノートとは、自分のプロフィールや、これまでのこと(略歴)、これからのこと(老後や相続)、家族に伝えたいことなどを整理して書き記しておくノートです。エンディングノートは、万が一のときに周囲の人があなたの気持ちを汲むための大きな手がかりとなります。
決まった形式はないので、普通のノートに自分にとって必要だと思う項目について自由に書くことができます。
一から自分で書くことが難しい場合には、あらかじめ必要な項目が記載されているものが市販されていますので、目的に合わせたものを選んでその内容に沿って記入することで手軽に始めることができます。
ただし、エンディングノートには法的効力はないので、相続に関することは法的効力がある遺言書を作成する必要があります。

本人の情報(プロフィール)

本人の情報は、どの手続きを行うにも必要なものですので、わかりやすく記録しておくと便利です。
自分にとっては当たり前の情報でも、家族が知らない情報があるかもしれません。
□ 氏名、旧姓
□ 生年月日
□ 現住所
□ 本籍地
□ 血液型
□ マイナンバー  など

本籍地は、意外と家族が知らない可能性があります。住所地と本籍地は必ずしも一致するわけではないので、改めて確認すると本籍地が思っていた所とちがっていたということもあるかもしれません。
本籍地は、住民票を取得する際に「本籍地の記載があるもの」を請求することで確認できます。
自分の出生から現在までの戸籍謄本も取得しておくと、自分の亡きあとの相続手続きの際に、相続人が一から収集する手間を省くことができ、負担を軽減することができます。

医療・終末期医療について

自分らしい最期を迎えるためには、医療に関する情報や終末医療への希望を家族に伝えておくことが大切です。
<医療に関する情報>
□ かかりつけの病院・先生
□ 保険証や診察券の保管場所
□ 持病の有無
□ 飲んでいる薬の種類
□ 過去の病歴
□ アレルギーの有無
<終末期医療への希望>
□ 病気の告知
□ 延命治療
□ 臓器提供
□ 献体

健康状態に関する情報がわかるようにしておけば万が一のときに家族が困らないほか、入院などをする際に保険証や診察券の保管場所がわかるとスムーズに手続きを行うことができます。
また終末医療に関しても、病名を知らせてほしいのか、延命治療をどの程度まで希望するのかなどについて伝えておくことで、判断を迫られる家族の精神的な負担を軽減させることができます。

介護について

介護は家族全体の問題になりますので、自分がどうしたいのかを考え、元気なうちに家族と相談しておくことが大切です。
□ 介護を誰に任せたいのか
□ 介護を受ける場所
□ 介護費用の捻出方法

介護が必要になったときに自宅で家族に介護を任せたいのか、施設に入ることを希望するのか、どうしたいのかを考えます。
施設に入ることを希望する場合には、希望するサービスを受けることができる具体的な施設やそのために必要な費用を調べるなどして、費用の捻出についても準備が必要になります。一方、自宅での介護を希望する場合には、バリアフリーに対応したリフォームを行うなどの検討が必要です。
また、契約や費用の支払いなどの手続きは誰がするのかも含めて、あらかじめ家族と相談しておくとよいでしょう。

財産について

財産を把握し、その管理についても考えておく必要があります。
□ 財産目録の作成
□ 財産の整理(名義変更、解約など)
□ 財産の管理

目録を作成することで、財産が把握しやすくなります。
預貯金であれば銀行名・支店名・口座番号、不動産であれば所在地・名義人、貴金属であれば種類・個数・保管場所などを一覧表にしてわかりやすくまとめ、プラスの財産はもちろんですが、借金や保証人などのマイナスの財産についても、どこに・いくら借りているのかなどを記載します。
相続人はプラスの財産に比べてマイナスの財産があまりにも多い場合には、相続放棄の検討をすることができます。
そして、デジタル資産といわれるネット銀行や暗号資産(仮想通貨)を利用している場合は、その情報も目録に入れることで、相続手続きの際に発見されないといったことを回避することができます。
なお、不動産の名義が先代のままになっている場合には、相続関係が複雑になってしまう前に早めに名義変更(相続登記)手続きを行ったり、普段使っていない預貯金口座やクレジットカードは解約するなど財産の整理をしておくと、相続手続きの手間を軽減することができます。

また、病気等によって自分で財産を管理できない状態になってしまったときに誰に任せたいのか、任意後見契約や各種制度の利用も検討する必要があります。

葬儀について

葬儀は突然起こることが多いので、残された家族が故人の望む形にしたいと願いながらもあわてて判断をしなければならなくなり、あとから後悔することもあります。
家族の負担を減らすためにも、あらかじめ希望する葬儀や費用について伝えておくことが大切です。
□ 宗派の確認
□ 葬儀の方法
□ 葬儀会社
□ 葬儀費用の捻出方法
□ 遺影の準備

まずは宗派を確認し、「一日葬」や「家族葬」などどのような形で葬儀をしてほしいのかを伝え、希望する葬儀会社がある場合にはプランや費用などを事前に調べておきましょう。
葬儀会社とプランが決まればおおよその費用が把握できるので、葬儀費用の捻出について準備が必要です。
また、遺影にできそうな写真をあらかじめ用意し、定期的に更新するのもよいでしょう。

お墓について

お墓は必ず準備しておかなければならないわけではありませんが、現在では埋葬方法もさまざまな選択肢があるので、自分の希望する場所や方法について家族と相談しておくことでお互いの思いを共有することができます。
□ 埋葬方法
□ 埋葬場所
□ 費用の捻出方法
□ 管理方法

先祖代々のお墓に入る場合には、場所を再確認し家族に伝えておきます。
自分で新しく準備しようとしている場合には、場所や費用の捻出などについて検討します。
どちらの場合も、お墓の管理について家族と相談し、先祖代々のお墓が遠方にあり管理が難しくなってきた場合には改葬の検討も必要になるかもしれません。
「お墓はいらない」「自然葬を希望する」など、家族の思いも聞きながらしっかり話し合って決めることが大切です。

相続について

財産目録を作成したら、「誰に」「何を」「どのくらい」相続させるかなど遺産の分け方について考える必要があります。
□ 遺産分割の方法
□ 遺言書の作成

遺産の分け方について希望がある場合には、必要に応じて遺言書を作成することをおすすめします。
遺言書を作成し自分の意思を明らかにすることで、相続人同士が争うリスクを減らすことができるほか、法定相続人以外の人に遺産を分けることもできます。
ただし、遺留分に配慮した内容や法的に有効な形式で作成できていないと、争いのもとになってしまうので注意が必要です。

相続についても、前もって家族と話し合っておくことが重要です。
自ら説明し同意を得て準備をしておくことで、いざというときにスムーズに相続の手続きを進めることができます。

まとめ

終活でやるべきことについて紹介しましたが、このほかにも、亡くなったことを知らせてほしい人をリストアップする、ペットの飼育先と飼育費用の確保しておく、保険を見直す、断捨離して遺品整理の負担を減らすなど、終活に必要だと感じる項目は人それぞれです。
今すぐできることもあれば、ゆっくり時間をかけなければいけないこともありますが、残りの人生を自分らしく過ごすため、そして家族の負担を軽減させるために、少しずつ進めてみてはいかがでしょうか。

お困りごとや不安なことがある方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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