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はじめての相続で知っておきたい用語集(た行・な行)

令和6年4月1日から相続登記が義務化されることになり、これをきっかけに手を付けていなかった相続登記を行いたいというご相談が増えています。
しかし、相続の手続きは何度も行う機会があるわけではないので、はじめて見聞きする用語に困惑される方も多くいらっしゃいます。
今回は、相続に関する用語(た行・な行)について解説いたしますので参考にご覧ください。

「た行」

代襲相続(だいしゅうそうぞく)

亡くなった方(被相続人)より先に、本来相続人になるはずだった人が死亡している場合に、その子などが代わって相続人(代襲相続人)になる制度。
例えば、被相続人が死亡した時点で、被相続人の子が先に死亡していても、その子(被相続人の孫)がいる場合はその人が相続人になります。
また、本来の相続人が「相続欠格」や「相続廃除」の理由で相続権を失った場合にも、その子などが相続人になります。
ただし、相続人が「相続放棄」をした場合は、その人は相続開始時から相続人ではなかったことになるので、その子などが代襲相続をすることはできません。

転籍(てんせき)

戸籍の本籍地を移転すること。
本籍地は、日本国内であればそこに住んでいなくても好きな場所を定めることができます。
転居する際にあわせて本籍地を移転することも、住所地は変わらないまま本籍地だけを移転することも可能です。
本籍地と住所地を同じにする必要はありませんが、戸籍謄本は本籍地の市区町村に請求するため、住所地から遠方であれば取り寄せに手間がかかってしまいます。
また、転居にあわせて何度も転籍をしていると、手続きに必要な戸籍謄本を取得するためにあちこちの市区町村に請求することになる可能性があります。

特別受益(とくべつじゅえき)

一部の相続人だけが被相続人から受け取った特別な利益のこと。
特別受益がある場合、他の相続人との不公平さからの争いを防ぐために、その利益を考慮したうえで各相続人の相続分を決めることができます(特別受益の持戻し)。
例えば、遺贈によって受け取った財産や、事業のための資金、住宅購入のための資金などの生前贈与がその対象になる可能性があります。
ただし、他の相続人が特に気にせず請求しない場合や、遺言書に特別受益を考慮しないと書かれている場合などは、特別受益を考慮する必要がありません。

特別代理人(とくべつだいりにん)

家庭裁判所に申立てを行い、特別に選任された代理人のこと。
相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者は単独で法律行為を行うことができませんので、本来はその親権者が法定代理人になります。
しかし、遺産分割協議などを行う際に未成年者とその親権者との利益が相反してしまう場合には、未成年者のために特別代理人を選任しなければなりません。
父親が亡くなりその相続人が配偶者である母親と未成年の子である場合などがその例です。
また、認知症などによって判断能力がない成年被後見人とその成年後見人との利益が相反してしまう場合にも、特別代理人の選任が必要になります(成年後見監督人が選任されている場合には成年後見監督人が代理人となります)。
特別代理人になるために資格等は特に必要ありませんので、利害関係のない親族を候補者にすることが多いのですが、適当な候補者がいない場合には司法書士などの専門職を候補者にすることも可能です。

「な行」

名寄帳(なよせちょう)

市区町村が作成している固定資産課税台帳を所有者別にまとめたもので、所有不動産を一覧で確認することができます。
毎年4月ごろに自治体から不動産の所有者あてに送付される固定資産税納税通知書(課税明細書)とだいたい同じ記載内容ですが、名寄帳には(自治体にもよりますが)非課税物件も記載されますので、被相続人が所有していた不動産を調査するときなどに活用することができます。
ただし、毎年1月1日時点の情報であるため、それ以降に取得した不動産は記載されていません。新たに取得した不動産がある場合は注意が必要です。
名寄帳を取得するためには、所有不動産が所在する市区町村の役場で請求します。
誰でも請求できるものではなく、所有者本人、本人から委任された代理人、所有者本人が亡くなっている場合には相続人か相続人から委任された代理人等が請求することができます。

認知(にんち)

非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子)について、その父親が自分の子であると認めることで、父親との法律上の親子関係を成立させること。
認知された子には相続権があり、その法定相続分の割合は嫡出子(婚姻している夫婦の間に生まれた子)と同じです。

ご相談はお気軽にどうぞ

ご不明な点や心配なことなどがありましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
難しい法律用語もできるだけわかりやすくご説明させていただきます。

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