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相続登記をせずに放置すると起こってしまう問題とは?

令和4年1月現在、相続登記をいつまでにしないといけないという期限は定められていません。
ただし、不動産登記法の改正により、近い将来、不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられます。
これは、社会問題になっている所有者不明土地の問題を解消するという観点から改正されるものですが、従来の相続の手続きにおいても、相続登記をせずに放置しておくと様々な問題が起こってしまう可能性があります。

不動産の売却や担保設定ができない

相続によって不動産を取得したのに名義変更(相続登記)をしていないと、金融機関などの第三者に対して所有権を主張することができず、問題が起こってしまう可能性があります。
まず、亡くなった方の名義のままでは不動産を売却することができません。
売却する前提として名義変更をしなければならず、売りたいと思ってもすぐに売れない場合があります。
また、亡くなった方の名義のままでは、金融機関から土地・建物を担保にして借り入れをすることができません。建物のリフォームや建て替えに伴い、住宅ローンなどを設定しようとした際に問題が生じてしまいます。

相続関係の複雑化、相続人の高齢化

相続登記は、遺言書がのこされていない場合、誰がどれだけ相続するのかを相続人全員の協議(遺産分割協議)によって決め、その結果を遺産分割協議書にして、相続人全員が押印する必要があります。
しかし、それをしないまま長期間放置することで、その間に新たな相続が発生し、相続人の人数が増えたり複雑化するうえに、相続人同士の関係性が薄くなっていくことが考えられ、相続人の特定や話し合いが困難になる可能性があります。必要な書類も増え、集めるのも大変になってしまいます。

また、相続登記をしないまま放置している間に、相続人が高齢化し、認知症などで判断能力が低下してしまう可能性があります。
その場合、認知症の相続人に代わって遺産分割協議に参加する成年後見人等を選任するために家庭裁判所に申し立てをしなければいけなくなり、時間だけでなく手間や費用も余分にかかってしまいます。

他の相続人の債権者による差押え

相続登記をしていない不動産は、相続人全員が法定相続分に応じて共有している状態です。
もしも、相続人の中に多額の借金があり返済が滞っている人(債務者)がいる場合、その債権者は、債務者である相続人の法定相続分を差し押さえることができます。
債権者は自己の正当な権利を守るために、債務者である相続人に代わり、法定相続分での相続登記申請を行い(債務者代位)、債務者の持分を差し押さえることになります。
遺産分割協議によって自分がその不動産を相続することがすでに決まっていたとしても、差押えよりも先に相続登記を完了していなければ、他の相続人の債権者に対して権利を主張することはできず、差押えは取り消されません。
この場合、相続した不動産を単独で所有するためには、差し押さえられている持分を買い取ることになる可能性が高く、余計な費用がかかってしまいます。

まとめ

不動産を相続することになった際には、なるべく早めに名義変更(相続登記)を行うことをおすすめします。
今すぐに売却などをする予定はないので名義変更は急いで行う必要はないと考えられていても、放置している間に相続関係が複雑化するなどして、いざしようと思ったときには余計な時間と費用がかかってしまう可能性があります。将来、お子さんやお孫さんが困ることのないよう、相続が発生した都度に相続登記を行うことが大切です。

相続の手続きについてお困りごとや不安なことがある方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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